マーチンゲール法の計算:倍賭けはなぜ負けを取り返せないのか
負けたら賭け金を倍にする「マーチンゲール法」は、いつか1回勝てばそれまでの負けを取り返したうえで最初の賭け金の分だけ勝てる方法として紹介されていますが、倍にできる回数はテーブルの「上限」で決まっており、そこで止まった系列の負けがそれまでに積み上げた小さな勝ちをまとめて消していきます。
このページの要点
- 最低1,000円・上限50,000円のヨーロピアンルーレットで赤黒に賭けると、倍にできるのは32,000円までの6回で、6連敗で63,000円を失う確率は約54.5回に1回です
- 1系列の期待値は約−173.5円で、1系列で賭ける額の平均(約6,420円)のちょうど−1/37にあたります
- 同じ卓で100系列続けると、少なくとも1回は6連敗する確率が約84%になり、上限を100,000円に上げても約61%です
- 前の賭け金を倍にして1単位を足すグランマーチンゲール法は、同じ卓では5回しか賭けられず、5連敗の確率は約28回に1回です
マーチンゲール法の決まり
マーチンゲール法は、負けたら次の賭け金を倍にし、勝ったら最初の額に戻す方法で、払い戻しが賭け金の「2倍」になる賭け(赤黒、奇数・偶数、ハイ・ロー、バカラのプレイヤーなど)に使うものとして紹介されています。1,000円から始めると、何回目で勝っても、その回の勝ち分がそれまでの負けの合計を1,000円だけ上回るので、勝って終わった「系列」は+1,000円になります。
この説明は計算としては正しいものの、勝つまで倍にし続けられることが前提で、テーブルには賭け金の上限があり、手持ちの資金にも限りがあるため、倍にできる回数には「壁」があります。壁に当たった系列は、大きな負けで終わります。
1,000円から倍にすると何回まで賭けられるか
仮に最低1,000円・上限50,000円のヨーロピアンルーレットで赤に賭けるとすると、賭け金は1,000円、2,000円、4,000円、8,000円、16,000円、32,000円と6回までは倍にできますが、7回目の64,000円は上限を超えるため賭けられません。6連敗した時点で失う額は合計63,000円で、赤が出ない確率は1回ごとに19/37なので、編集部の計算では6連敗の確率は(19/37)の6乗、約54.5回に1回です。
1回ごとの賭け金(円)
| 回 | 賭け金 | ここまで負けたときの損失 | ここまで負け続ける確率 |
|---|---|---|---|
| 1回目 | 1,000円 | 1,000円 | 51.4% |
| 2回目 | 2,000円 | 3,000円 | 26.4% |
| 3回目 | 4,000円 | 7,000円 | 13.5% |
| 4回目 | 8,000円 | 15,000円 | 6.95% |
| 5回目 | 16,000円 | 31,000円 | 3.57% |
| 6回目 | 32,000円 | 63,000円 | 1.83%(約54.5回に1回) |
上限を100,000円に上げれば64,000円まで7回賭けられますが、7連敗での損失は127,000円に増え、その確率が約106回に1回に下がるだけです。倍にできる回数が1回増えるごとに、連敗の確率はおよそ半分になる一方で、負けたときの額はおよそ倍になります。壁の位置が動くだけです。
1系列の期待値は賭けた額の−1/37
1系列の結果は、約98.17%の確率で+1,000円、約1.83%の確率で−63,000円なので、「期待値」は約−173.5円です。編集部が分数で計算すると、これは1系列で賭ける額の平均(約6,420円)のちょうど−1/37で、上限を100,000円にした場合の期待値約−205.2円も、賭ける額の平均約7,594円の−1/37でした。
平均すると約54.5系列に1回の割合で63,000円を失い、それまでに勝ち取る額は平均で約53,500円にとどまるため、勝ちが続いている間に感じる「負けない方法」という印象は、連敗が来るまでの時間の長さから生まれているにすぎません。勝ちの回数がどれほど多くても、まれな負けと合わせた平均は−1/37に戻ります。
| 続けた系列の数 | 上限50,000円(6連敗) | 上限100,000円(7連敗) |
|---|---|---|
| 10系列 | 約17% | 約9% |
| 50系列 | 約60% | 約38% |
| 100系列 | 約84% | 約61% |
続ける系列の数ごとに私たちが計算すると、どこかで上限まで連敗する確率は系列を重ねるほど上がり(10系列で約17%、50系列で約60%)、上限50,000円の卓で100系列続けた場合は約84%で、1回の6連敗で失う63,000円は、63系列分の勝ちにあたります。
アメリカンルーレットとバカラでは
0と00がある38マスの「アメリカンルーレット」では、赤が出ない確率が20/38に上がるため、同じ卓で6連敗する確率は約47回に1回になり、期待値も賭けた額の−2/38(約−5.26%)に悪化します(くわしくはルーレットの確率)。
バカラの「プレイヤー」に賭ける場合は、引き分けでは賭け金が戻るだけで系列が終わらないため、編集部が8デッキのすべての配り方を数えて勝負がついた回だけで見ると、負けの確率は約50.68%、6連敗は約59回に1回、7連敗は約116回に1回でした。「バンカー」に賭けると、勝ったときの利益から5%の手数料が引かれるので、6回目の32,000円で勝っても利益は30,400円にとどまり、それまでの負け31,000円を取り返せません(バカラの数字はバカラの確率)。
グランマーチンゲール法
「グランマーチンゲール法」は、負けたら前の賭け金を倍にしたうえで1単位を足す方法で、1,000円から始めると賭け金は1,000円、3,000円、7,000円、15,000円、31,000円と上がり、3回目の勝ちで3,000円、5回目の勝ちで5,000円と、何回目で勝ったかに応じて利益が増えます。そのぶん賭け金の上がり方も速く、上限50,000円の卓では6回目の63,000円が賭けられないため、5連敗(約28回に1回)で57,000円を失い、期待値は賭けた額の−1/37のままです。
「負けを取り返す」という考え方
マーチンゲール法の前提には、負けが続いたのだから次は勝つ番だという感覚がありますが、1回ごとの結果は独立しており、6回続けて負けた後でも、7回目に赤が出る確率は18/37のままです(必勝法と呼ばれる賭け方で扱う「ギャンブラーの誤謬」)。倍にした賭け金は、勝つ確率を上げるのではなく、負けたときの額を大きくしているだけです。
倍賭けを「必勝法」として売る情報や、使い方を教える勧誘については、必勝法・攻略ツールの販売で注意点をまとめています。私たちの計算で見えてくるのは、勝つための方法ではなく、勝ちと負けの形を入れ替える方法だということで、そもそも日本からオンラインカジノに賭けること自体が賭博罪にあたる点も変わりません(オンラインカジノの違法性)。
よくある質問
資金が十分にあれば、マーチンゲール法で勝ち続けられますか。
テーブルには賭け金の上限があるため、資金が多くても倍にできる回数は限られます。最低1,000円・上限50,000円の卓では6回が限度で、1系列の期待値は賭けた額の−1/37です。
上限の高いテーブルなら安全ですか。
上限を100,000円にしても、7連敗の確率が約106回に1回になる代わりに、そのときの損失は127,000円に増えます。期待値の割合は−1/37のまま変わりません。
赤が何回も続いた後に倍賭けを始めれば有利ですか。
有利にはなりません。ルーレットの各回は前の回と無関係で、赤が何回出た後でも、黒の確率は37分の18のままです。
出典と参考資料
- ギャンブラーの誤謬、ウィキペディア日本語版
- オンラインカジノを利用した賭博は犯罪です!、警察庁
- 情報商材、国民生活センター、2026年7月31日更新