IR(統合型リゾート)とカジノの制度
日本の刑法は賭博を禁じていますが、2018年に成立したIR整備法は、国の認定を受けた区域の中で、カジノ管理委員会の免許を受けた事業者がカジノを営む場合に限り、これを例外として認めました。2026年10月の時点で認定を受けているのは大阪の1か所だけで、そのカジノもまだ開業していないため、日本国内で営業している合法なカジノはないというのが現状です。
このページの要点
- カジノを含むIRを整備できる区域は全国で最大3か所で、2026年10月の時点で認定されているのは大阪・夢洲の1か所だけです
- カジノの面積はIRの床面積の合計の3%までに限られ、カジノの数は一つのIRにつき1施設です
- 事業者は、カジノの粗収益の15%とカジノ管理委員会の経費の負担額を国に、別に粗収益の15%を都道府県などに納めます
- 2022年に申請したのは大阪府と長崎県だけで、長崎県の計画は2023年12月に認定されませんでした
- 次の申請期間は、政令で2027年5月6日から11月5日までと定められています
カジノを認める二つの法律
IRの制度は、性格の違う二つの法律を、段階を踏んで作るという形で組み立てられました。最初の「IR推進法」(平成28年法律第115号)は国会議員が提出した法律で、2016年12月15日に成立して同月26日に施行され、制度を具体的に定めるための措置を「この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならない」と政府に求めていました。
これを受けて政府が出した「特定複合観光施設区域整備法」(IR整備法、平成30年法律第80号)は、2018年7月20日に成立して同月27日に公布された法律で、カジノ管理委員会の免許を受けた事業者がカジノを営む場合には、そのカジノで刑法185条と186条の賭博罪の規定を適用しないと定めています(39条、全体の施行は2021年7月19日)。
つまり、日本でカジノが合法になるのはこの手続きを経たIRの中だけで、海外の政府の免許をうたうオンラインカジノであっても、この例外には入らないということです。認定を受けた大阪のIRも2025年4月に着工した建設中の施設で、開業は「2030年秋頃」の予定とされ、計画には1〜2年程度遅れる可能性も書かれているため、私たちは、国内で営業している合法なカジノはまだないと整理しています。
IRの中でカジノが占める位置
IR(統合型リゾート)は法律では「特定複合観光施設」と呼ばれ、カジノはその中の一つの施設という位置づけです。カジノに使える面積については、施行令6条が「特定複合観光施設の床面積の合計の百分の三の面積」という上限を定めており、カジノ管理委員会の資料も「IR区域数は上限3か所、カジノ施設の数は各IRにおいて1施設」とまとめています。
区域の数は、「認定区域整備計画の数が三を超えることとならないこと」が国土交通大臣の認定の要件の一つになっているため(IR整備法9条11項7号)、全国で最大3か所までで、この上限は最初の認定から7年後に見直すと附則が定めています。認定の有効期間は10年で、更新した場合の期間は5年です。
カジノ管理委員会と納付金
カジノを監督するのは、2020年1月7日に内閣府の外局として設けられたカジノ管理委員会で、委員会は自らを「いわゆる三条委員会」と説明しています。委員長と4人の委員は衆議院と参議院の同意を得て任命され(217条)、その任務は「カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保」と定められており、事業者がカジノを営むためには、この委員会から免許を受ける必要があります(39条)。
事業者は、カジノの粗収益(法律の言葉では「カジノ行為粗収益」)の15%にカジノ管理委員会の経費の負担額を加えた額を国に、別に粗収益の15%を都道府県などに、毎月納めるように定められており(192条、193条)、編集部の計算では、国と自治体への分を合わせた粗収益の30%に、委員会の経費の負担額が加わるという形です。その使い道は観光や地域経済、福祉、文化などに限られており、大阪の計画によれば、納付金と入場料を合わせた収入は「約1,060億円/年(納付金:約740億円/年、入場料:約320億円/年)」と見込まれています。
申請と認定の結果
最初の申請期間は2021年10月1日から2022年4月28日まででしたが、私たちが確認した観光庁の2022年4月27日付の資料によれば、申請したのは大阪府と長崎県の二つだけでした。和歌山県は県議会が議案を否決したため(「反対多数をもって、議案は否決となりました」)、横浜市は山中竹春市長が撤回を表明したため、どちらも申請していません。
大阪府の計画は2023年4月14日に7つの条件を付けて認定されましたが、長崎県の計画について、観光庁は同年12月27日に「認定を行わないこととしました」と発表しました。審査委員会が「要求基準に適合しない」と判断したためです。
| 自治体 | 経過 | 日付 |
|---|---|---|
| 横浜市 | 市長が誘致の撤回を表明 | 2021年9月10日 |
| 和歌山県 | 県議会が申請の議案を否決 | 2022年4月20日 |
| 大阪府 | 申請し、7つの条件付きで認定 | 2023年4月14日 |
| 長崎県 | 申請したが、認定されず | 2023年12月27日 |
次の申請期間については、2026年3月13日に施行された政令が、2027年5月6日から11月5日までという期間を定めました。観光庁は、上限3か所のうち認定されているのが大阪・夢洲地区の1か所だけであることを理由に挙げていますが、どの自治体が申請するかを示す公的な資料は、私たちが調べた範囲では見つかっていません。
認められるゲームと広告のルール
カジノで行えるゲームはカジノ管理委員会規則3条が次のように列挙しており、委員会はその全体を9種21分類のテーブルゲームと電子ゲーム機などによるゲームと説明しています。ゲームごとの確率と控除率は、当サイトのカジノゲームの確率と控除率の章で扱っています。
- バカラ
- トゥエンティワン(ブラックジャックなど)
- ポーカー(テキサスホールデムやトーナメントを含む8種類)
- カジノウォー、クラップス、シックボー
- ルーレット、マネーホイール、パイゴウ
- 電子ゲーム
広告の規制(106条)は「何人も」を対象にしているため、事業者に限らず、誰が出す広告にも及びます。うその表示や誇大な表示、20歳未満の人への勧誘は禁じられており、看板やチラシは、国際空港や国際港の到着エリアを除けば、IR区域の外では使えません。どの広告にも、20歳未満は入場できないことと、「カジノ行為にのめり込むことにより日常生活又は社会生活に支障が生じるおそれがある旨」を示すように求められています(規則105条)。
このセクションのページ
大阪IRのページでは夢洲の計画の事業者、出資の構成、投資額、工事の経過と開業の予定を、カジノの入場規制のページでは入場料、回数の制限、本人確認、本人や家族の申し出による利用制限を、編集部が条文と公的な資料にもとづいて説明しています。
よくある質問
いま日本に、合法なカジノはありますか。
2026年10月の時点ではありません。合法なカジノはIR整備法で認定された区域の中でだけ認められ、認定を受けた大阪のIRは建設中で、開業は2030年秋頃の予定ですが、1〜2年程度遅れる可能性も示されています。
IRは全国にいくつまで作れますか。
法律が認める区域は最大3か所で、この上限は最初の認定から7年後に見直されます。認定を受けているのは大阪の1か所です。
次にIRを申請できるのはいつですか。
政令で、2027年5月6日から11月5日までと定められています。
日本のカジノでは、どんなゲームが認められていますか。
カジノ管理委員会規則3条が、バカラ、ブラックジャックなどのトゥエンティワン、ポーカー、ルーレット、クラップス、シックボーなどのテーブルゲームと電子ゲームを列挙しています。
出典と参考資料
- 特定複合観光施設区域整備法(平成30年法律第80号)、e-Gov法令検索
- IR推進法(平成28年法律第115号)、e-Gov法令検索
- 特定複合観光施設区域整備法施行令(平成31年政令第72号)、e-Gov法令検索
- 任務、カジノ管理委員会
- カジノ規制の全体像、カジノ管理委員会
- 区域整備計画の認定申請を受け付けた自治体(発表資料)、観光庁、2022年4月27日
- 大阪府の区域整備計画の認定(発表)、観光庁、2023年4月14日
- 長崎県の区域整備計画を認定しないとした発表資料、観光庁、2023年12月27日
- 次の認定申請期間を定める政令の決定(発表資料)、観光庁、2026年3月10日