均一賭け(フラットベット):損失の期待値は賭けた総額で決まる
毎回同じ額を賭ける「均一賭け」(フラットベット)には、負けを早く取り返せないから劣っているという見方もありますが、何も約束しないこの賭け方こそ、ほかの方法と比べるうえでの正直な基準になると私たちは考えています。
このページの要点
- ヨーロピアンルーレットの赤黒に1,000円ずつ100回賭けると、賭けた総額は100,000円、損失の期待値はその1/37にあたる約2,703円です
- 同じ100回でも結果のばらつき(標準偏差)は約1万円あり、勝って終わる確率は約35.5%、負けて終わる確率は約56.8%です
- 同じ100,000円を10,000円ずつ10回で賭けても損失の期待値は変わりませんが、ばらつきは約3.2倍になります
- 1,000円ずつの賭けを1,000回続けると損失の期待値は約27,027円になり、勝って終わる確率は約18.8%まで下がります
- 損失の期待値を減らす方法は、賭ける総額を減らすことだけです
何も約束しない賭け方
均一賭けは、勝ち負けにかかわらず毎回同じ額を賭ける方法で、名前のある「必勝法」と違って何かを約束することはありませんが、そのぶん、賭け方による見かけの違いを取り除いた、賭けの素の姿を見せてくれます。損失の期待値は賭け方にかかわらず「控除率×賭けた総額」になるため(必勝法と呼ばれる賭け方)、ほかの方法の結果も、同じ総額を均一に賭けた場合と比べると、違いがどこにあるのかがはっきりします。
ここでいう「期待値」は、同じ条件の賭けを何度も繰り返したときの1回あたりの平均であり、1回ごとの結果を約束する数字ではありません。このページでは、ヨーロピアンルーレット(0が1つで37マス)の「赤黒」に1,000円ずつ賭ける場合を例に、その平均と、結果の「ばらつき」の両方を編集部が数えています。
1,000円×100回の計算
仮に赤に1,000円ずつ100回賭けるとすると、賭けた総額は100,000円、損失の期待値はその1/37にあたる約2,703円です。編集部が「二項分布」で正確に数えると、100回のうち赤が51回以上出て勝ち越す確率は約35.5%、ちょうど50回で±0になる確率が約7.7%、赤が49回以下で負けて終わる確率は約56.8%でした。
100回程度では結果が期待値のまわりに大きく散らばり、ばらつきを表す「標準偏差」は約1万円で、結果のおよそ95%は−22,000円から+16,000円の間に入るため、勝って終わる人が3人に1人以上いるのは、賭け方がうまかったからではなく、この散らばりのためです。
| 賭け方 | 賭けた総額 | 損失の期待値 | ばらつき(標準偏差) | 勝って終わる確率 |
|---|---|---|---|---|
| 1,000円×100回 | 100,000円 | 約2,703円 | 約1万円 | 約35.5% |
| 10,000円×10回 | 100,000円 | 約2,703円 | 約3.2万円 | 約34.4% |
| 1,000円×1,000回 | 1,000,000円 | 約27,027円 | 約3.2万円 | 約18.8% |
| 1,000円×10,000回 | 10,000,000円 | 約27万円 | 約10万円 | 約0.33% |
同じ総額なら、ばらつきが最も小さい
同じ100,000円を10,000円ずつ10回で賭けても、損失の期待値は約2,703円のままですが、標準偏差は約3.2万円と、1,000円ずつ100回賭けた場合の約3.2倍になり、勝って終わる確率は約35.5%と約34.4%で、額を大きくしても勝ちやすくはなりません。回数と総額をそろえて比べると、毎回の額を同じにしたときにばらつきが最も小さくなります。
賭ける場所を1つの数字(払い戻しは賭け金の36倍)に変えると、同じ1,000円×100回でも標準偏差は約5.8万円まで広がりますが、損失の期待値は約2,703円のままで、賭け方や賭ける場所を変えて動くのは、ばらつきのほうだけです。期待値という「物差し」は動きません。
「マーチンゲール法」のように負けた後に賭け金を上げる方法は、多くの小さな勝ちとまれな大きな負けという偏った形をつくり(マーチンゲール法)、勝った後に上げる方法はその逆の形をつくりますが、均一賭けと同じ総額を賭ければ、どちらも同じ額の損失を期待値として抱えています。期待値が同じ賭け方の中では、均一賭けが最も結果を読みやすい方法だと私たちは考えています。
遊ぶ時間は、賭けた総額と同じ意味になる
損失の期待値が賭けた総額で決まるので、同じ額を賭けて長く遊ぶほど損失の期待値もそれに比例して大きくなり、1,000円の賭けでは1回ごとの約27円(1,000円の1/37)が、遊んだ回数の分だけ積み重なっていきます。1,000回続ければ賭けた総額は100万円、損失の期待値は約27,027円になり、勝って終わる確率は約18.8%、10,000回では約0.33%まで下がります。
回数ごとの確率(%)
回数を重ねるほど1回あたりの平均の収支は賭け金の−2.7%に近づきますが(「大数の法則」)、金額で見た期待値からの散らばりはむしろ大きくなり、標準偏差は100回で約1万円、1,000回で約3.2万円、10,000回で約10万円です。結果が期待値の側に寄っていくのは、過去の負けが取り返されるからではなく、新しい結果が積み重なって偏りが薄まるからです。
「劣った方法」という見方の誤り
均一賭けは負けを早く取り返せないから劣っている、という見方は、均一賭けがマーチンゲール法のように振る舞わないことを責めているにすぎません。負けを早く取り返す方法はその代わりにまれな大きな負けを抱えるため、期待値で比べれば、どちらも賭けた総額の約2.70%を失う点で違いはなく、均一賭けは比べる相手ではなく、比べるための物差しです。負けた後に額を上げないことは、賭ける総額を増やさないこと、つまり損失の期待値(総額の1/37)を増やさないことでもあります。
損を減らす方法は一つだけ
編集部の計算で、損失の期待値を小さくする方法として残ったのは賭ける総額を減らすことだけで、1回の額を小さくする、回数を減らす、早くやめるといった形の違いはあっても、効いているのはどれも「賭けた総額」が減ったという一点でした。賭けなければ、損失の期待値は0です。
日本にいながらオンラインカジノで賭ければ、それだけで刑法の賭博罪にあたり(オンラインカジノの違法性)、やめたいのにやめられないと感じている場合は、各都道府県と政令指定都市にある精神保健福祉センターで、本人だけでなく家族も相談できます(窓口の一覧は相談窓口と支援)。
よくある質問
均一賭けなら負けにくいのですか。
損失の期待値は賭けた総額の約2.70%で、ほかの賭け方と同じです。違うのは結果のばらつきで、回数と総額が同じなら、均一賭けのばらつきが最も小さくなります。
少額で長く遊べば、損は少なくなりますか。
1回の額が小さくても、回数が増えれば賭けた総額が増え、損失の期待値もそれに比例して増えます。1,000円ずつ1,000回賭ければ、損失の期待値は約27,027円です。
勝っているうちにやめれば得をしますか。
やめる時点の決め方で期待値は変わりません。勝って終わることがあるのは結果のばらつきによるもので、どこでやめても、損失の期待値はそれまでに賭けた総額の1/37です。
出典と参考資料
- ギャンブラーの誤謬、ウィキペディア日本語版
- オンラインカジノを利用した賭博は犯罪です!、警察庁
- 刑法(第185条)、e-Gov法令検索
- 全国精神保健福祉センター一覧、全国精神保健福祉センター長会