Japan Casino Guide日本の賭博と法律のガイド
メニュー

ギャンブルの払戻金と税金:一時所得の計算と確定申告

競馬や競輪で当たった払戻金は、宝くじの当せん金と違って所得税の対象になり、一般の愛好家であれば「一時所得」として、1年分の利益から50万円を引いた額の半分が、給与などのほかの所得に合算されます。

このページの要点

  • 競馬や競輪の払戻金は、営利を目的とする継続的行為から生じたものを除いて一時所得にあたります
  • 一時所得の金額は、払戻金の合計から当たり券の購入代金と特別控除(最高50万円)を引いた額で、その2分の1が総所得金額に加わります
  • 国税庁は、一般の競馬愛好家は外れ馬券の購入費用を必要経費として控除できないとしており、最高裁が雑所得と認めたのは長期間の網羅的な購入などの事例です
  • 宝くじの当せん金と、totoなどのスポーツくじの払戻金には、所得税がかかりません
  • 払戻金の一時所得は、住民税、国民健康保険料、配偶者控除や扶養控除の判定にも影響します

払戻金は「一時所得」

所得税法34条1項によれば、一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で、労務などの対価や資産の譲渡の対価としての性質を持たないもののことです。国税庁のタックスアンサー(No.1490)はその例に「競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除きます。)」を挙げており、所得税基本通達34-1の注3も、競輪の車券などの払戻金を競馬の馬券に「準じて」扱うとしています。

ボートレースとオートレースは通達に名前が出てきませんが、JKAは公営競技の払戻金について「一時所得として確定申告が必要となる場合があります」と案内しているので、申告が必要かどうかを確かめなければならないという点は、どの公営競技でも同じだと私たちは考えています。

一時所得の計算

34条2項と3項によれば、一時所得の金額は、その年の払戻金の合計から、その収入を得るために直接要した金額を引き、残りから特別控除の50万円(残りが50万円に満たない場合はその残りの額)を引いたものです。所得税はこの金額の2分の1を給与所得などのほかの所得と合計して計算されるので(22条2項2号)、課税の対象に加わるのは、利益から50万円を引いた額の半分ということになります。

差し引ける支出についてタックスアンサーは「直接要した金額に限ります」としており、東京地方裁判所の2015年5月14日の判決も、一時所得から「控除されるのは的中馬券の購入代金に限られ」るという判断を示しました。計算は「その年中の」払戻金をまとめて行うので、同じ年の払戻金は合算されますが、一時所得で生じた損失をほかの所得と相殺することはできません(所得税法69条1項)。

外れ馬券と最高裁の2つの判決

外れ馬券の扱いについて、国税庁は2018年7月に「いわゆる一般の競馬愛好家の方につきましては、従来どおり一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費として控除できません」と明言しています。年間で負けていても課税されうるのは、このためです。

これに対して最高裁判所は、2015年3月10日の判決(所得税法違反の刑事事件)で、馬券を自動的に購入するソフトを使って「多数回かつ頻繁に網羅的な購入」をしていた人の払戻金を「雑所得」とし、外れ馬券の購入代金を必要経費として差し引くことを認めました。国税庁の資料によれば、この人の購入額は年に約10億円にのぼり、利益は2007年に約1億円、2008年に約2,600万円、2009年に約1,300万円でした。

2017年12月15日の判決の要旨はソフトの使用に触れていませんが、6年間にわたって年に3億円から21億円ほどの馬券を一定の購入パターンで買い続け、毎年利益(約1,800万円から約2億円)を出していた人の払戻金を、同じく雑所得と判断しています。一方で、私たちが確認した中には、東京高等裁判所の2016年9月29日の判決のように一時所得とされた例もあり、最高裁は2017年12月20日にこの事件の上告を退けました。

国税庁はこの2つの判決を受けて、所得税基本通達34-1を2015年5月29日と2018年6月29日に改めました。今の注1は、「年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど」して、回収率が「100%を超えるように」買い続けてきたことが客観的に明らかな場合などを雑所得とし、注2はそれ以外を一時所得としているため、雑所得になるのはかなり限られた場合だと私たちは読んでいます。

宝くじとtotoは非課税

宝くじの当せん金については当せん金付証票法13条が「所得税を課さない」と定めており、totoなどのスポーツくじの払戻金も、スポーツ振興投票の実施等に関する法律16条によって同じく非課税です。同じ「当たり」でも競馬や競輪とは扱いが逆になるので、くじの仕組みは当サイトの宝くじとスポーツくじで説明しています。

違法な賭博で得たお金も課税の対象

所得税基本通達36-1は、収入金額とすべき金額について、「その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない」としています。オンラインカジノで得たお金も税の上では所得として扱われうるということで、税金を納めたからといって、日本から賭けたことが刑法185条や186条の罪にあたるという結論は変わりません。

オンラインカジノの勝ち金が一時所得と雑所得のどちらにあたるのか、負けた賭け金を差し引けるのかについては、国税庁の公表資料にも判決にも、私たちが確認できたものはありません。海外の合法なカジノの勝ち金については2025年の東京地裁判決があるので、海外のカジノと日本の法律で紹介しています。

確定申告が必要になる場合

給与が2,000万円以下で、1か所から給与を受けて年末調整を受けている会社員などは、給与と退職所得以外の所得の金額が20万円以下であれば、確定申告をしなくてよいとされています(所得税法121条1項、タックスアンサーNo.1900)。ただし、医療費控除やふるさと納税の控除を受けるために申告する場合は「20万円以下であっても」申告に含める必要があると、熊本国税局は案内しています(令和4年分の資料)。

問題は、この20万円と比べるのが、特別控除を引いた一時所得の金額そのものなのか、それを2分の1にした額なのかという点です。条文は「一時所得の金額」という言葉を使っています。公的年金を受け取る人についての同じ趣旨の規定(121条3項)では、高松国税局のチラシが2分の1にした後の額で判定する計算例を示していますが、給与を受ける人について同じことを明記した現行の国税庁の資料は、私たちの調べた限りでは見当たりませんでした。

編集部の計算では、給与以外に所得がない場合、払戻金から当たり券の購入代金を引いた利益が70万円以下ならどちらの読み方でも20万円を超えず、90万円を超えればどちらの読み方でも超えます。利益が70万円を超えて90万円以下のときは読み方によって結論が分かれるため、所轄の税務署に確かめてください。

計算例

仮に、会社員が2026年の1年間に競馬で当たり馬券の払戻金を合計150万円受け取り、その当たり馬券を10万円で買っていたとします。同じ年に外れ馬券を200万円分買っていた場合、手元のお金は差し引き60万円減っていますが、一般の愛好家として一時所得で計算すれば、外れ馬券の200万円は差し引けません。

計算例:払戻金150万円、当たり馬券10万円、外れ馬券200万円(仮定)
項目金額
払戻金の合計150万円
当たり馬券の購入代金(差し引ける)10万円
外れ馬券の購入代金(差し引けない)200万円
特別控除50万円
一時所得の金額(150万円−10万円−50万円)90万円
総所得金額に加わる額(2分の1)45万円
参考:手元のお金の増減(150万円−10万円−200万円)−60万円

一時所得の金額は90万円です。その2分の1の45万円が、給与所得と合算されます。90万円で比べても45万円で比べても20万円を超えるので、この例では、どちらの読み方をとっても確定申告が必要になります(編集部の計算)。

住民税、国民健康保険、扶養への影響

住民税の総所得金額も所得税と同じ計算の例によるため(地方税法313条2項)、一時所得の2分の1はここにも入ります。20万円のルールは所得税だけのもので、国税庁も「所得税の確定申告書を提出しない場合であっても、住民税の申告が必要な場合があります」と注意しています。

国民健康保険に加入している人の保険料の所得割は「基礎控除後の総所得金額等」をもとに計算されるので(国民健康保険法施行令29条の7第2項4号)、払戻金の一時所得の2分の1は、保険料の計算のもとになる金額にも加わります。

「合計所得金額」にも一時所得の2分の1が含まれるため(所得税法2条1項30号)、配偶者や扶養家族が払戻金を受け取ると、控除の要件から外れることがあります。配偶者控除と扶養控除の要件は、令和8年分ではどちらも合計所得金額が62万円以下で(令和7年分は58万円以下)、国税庁は配偶者控除の案内で、この金額が2026年12月1日に施行され、令和8年分から適用されると説明しています。

仮に、ほかに所得のない配偶者が2026年に競馬で200万円の利益(払戻金から当たり馬券の購入代金を引いた額)を得たとすると、一時所得は150万円、合計所得金額はその半分の75万円になって62万円を超えており、この場合の分かれ目は利益174万円という計算です(編集部の計算)。

よくある質問

競馬で年間トータルでは負けていても、税金はかかりますか。

かかることがあります。一般の競馬愛好家の場合、一時所得の計算で差し引けるのは当たり馬券の購入代金だけで、外れ馬券の購入費用は控除できないと国税庁は説明しています。

宝くじやtotoの当せん金にも税金はかかりますか。

所得税はかかりません。当せん金付証票法13条とスポーツ振興投票の実施等に関する法律16条が、所得税を課さないと定めています。

会社員は、払戻金の利益が少なければ申告しなくてよいのですか。

給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告は不要とするルールがありますが、一時所得をそのまま比べるのか2分の1にしてから比べるのかを明記した現行の国税庁の資料は見つかっていません。利益が70万円を超えて90万円以下なら読み方で結論が分かれるので、税務署に確かめてください。住民税の申告は別に必要になることがあります。

オンラインカジノで勝ったお金も申告が必要ですか。

所得税基本通達36-1は、収入の原因となった行為が適法かどうかを問わないとしています。ただし、所得の種類について国税庁の明確な資料は見つかっておらず、申告しても日本から賭けたことが賭博罪にあたる点は変わりません。

出典と参考資料

  1. 所得税法(第22条、第34条、第69条、第121条)、e-Gov法令検索
  2. タックスアンサー No.1490(一時所得)、国税庁
  3. 所得税基本通達34-1、国税庁
  4. 競馬の馬券の払戻金に係る課税について、国税庁、2018年7月
  5. 最高裁判所 平成27年3月10日判決(平成26年(あ)第948号)、裁判所
  6. 最高裁判所 平成29年12月15日判決(平成28年(行ヒ)第303号)、裁判所
  7. 所得税基本通達36-1、国税庁
  8. タックスアンサー No.1900(給与所得者の確定申告)、国税庁
  9. タックスアンサー No.1191(配偶者控除)、国税庁
  10. タックスアンサー No.1180(扶養控除)、国税庁