競馬の法律と払戻率:中央競馬と地方競馬の仕組み
競馬は、競馬法が日本中央競馬会(JRA)と都道府県などにだけ開催を認めている賭けであるため、馬券を買える年齢も、売上のうち払戻しに回す割合も法律が決めた枠の中にあり、このページではその枠と、利用を止めたい場合に使える仕組みを順に説明します。
このページの要点
- 競馬法は、JRAが行う競馬を「中央競馬」、都道府県又は指定市町村が行う競馬を「地方競馬」と呼び、JRAは農林水産大臣の監督を受けます
- 20歳未満の者は、競馬法28条により、勝馬投票券を購入することも譲り受けることも禁じられています
- 払戻率は法律で売得金の70%以上とされ、中央競馬では賭式に応じて80%から70%、控除率にすると20%から30%です
- JRAには本人や家族の申請による入場制限と、電話・インターネット投票の利用停止があり、2026年3月末までの累計は中央競馬で7,196件です
- 競馬の払戻金は非課税ではなく、一時所得として確定申告が必要になる場合があります
競馬法が認める「中央競馬」と「地方競馬」
競馬法(昭和23年法律第158号)は1条の2で、「日本中央競馬会又は都道府県は、この法律により、競馬を行うことができる。」と定めています。同じ条の5項が「日本中央競馬会が行う競馬は、中央競馬といい、都道府県又は指定市町村が行う競馬は、地方競馬という。」と定めているため、このページでも、JRAが行うものを中央競馬、都道府県などが行うものを地方競馬と呼んでいます。
JRAは、日本中央競馬会法31条が「農林水産大臣が監督する」と定める法人ですが、地方競馬の主催者は、競馬法23条にもとづいて地方競馬全国協会(NAR)にお金を納めることになっています。私たちがこのページで中央競馬の数字を中心に書いているのは、賭式ごとの払戻率を一次資料で確認できたのがJRAだけだったためで、地方競馬の率については、後で述べるように法律の下限しか示すことができません。
20歳未満は馬券を買うことも受け取ることもできない
二十歳未満の者は、勝馬投票券を購入し、又は譲り受けてはならない。
条文が「購入し、又は譲り受けてはならない」としているため、20歳未満の人は、自分で馬券を買うことだけでなく、ほかの人が買った馬券を受け取ることも禁じられています。同じ20歳の線は、競輪の「車券」、ボートレースの「舟券」、オートレースの「勝車投票券」についても、それぞれの法律に同じ言葉で置かれています(競輪・ボートレース・オートレース)。
払戻率は法律の枠の中でJRAが決める
競馬法8条1項は、払い戻す額を、勝馬投票券の「売得金」(売上から返還の分を除いた額)に「百分の七十以上農林水産大臣が定める率以下の範囲内で日本中央競馬会が定める率」を掛けて計算するという仕組みを定めています。大臣が定める上限の率は100分の80で、JRAは2014年3月3日のお知らせでこの率を示し、同年6月7日以降の払戻率を賭式ごとに次のように定めています。
| 勝馬投票法 | 払戻率 | 控除率 |
|---|---|---|
| 単勝・複勝 | 80.0% | 20.0% |
| 枠連・馬連・ワイド | 77.5% | 22.5% |
| 馬単・3連複 | 75.0% | 25.0% |
| 3連単 | 72.5% | 27.5% |
| WIN5 | 70.0% | 30.0% |
地方競馬にも、競馬法22条が8条を読み替えて適用しています。そのため売得金の70%という下限は中央競馬と同じですが、各地の主催者が賭式ごとに実際に使っている率を私たちは一次資料で確かめられなかったので、このページでは地方競馬の数字を挙げていません。
控除率は戻ってこない割合
控除率は100%から払戻率を引いた割合で、売得金のうち、的中した人への払戻しに回らない部分を表しているため、払戻率が80%の単勝なら20%、72.5%の3連単なら27.5%が「控除」される計算になります。上の表からは、選ぶ馬の数が増え、着順まで当てる賭式になるほど控除率が高くなるという傾向が読み取れ、WIN5ではその割合が30%に達します。
仮に、あるレースの単勝の売得金が1,000万円だった場合、表の率で私たちが計算すると、払戻しにあてられるのは800万円で、200万円は払い戻されませんが、売得金が同じ1,000万円でも、3連単の場合は払戻しが725万円、WIN5の場合は700万円にとどまり、払い戻されない額は275万円、300万円に増えます。
たとえば、毎週1万円ずつ単勝を買い、1年(52週)で52万円を賭けた人がいるとすると、結果は当たり外れによって大きく変わりますが、賭けた人全体の平均と同じ割合で払い戻されたとすれば、戻るのは41万6,000円で、差の10万4,000円が控除率20%の分にあたるというのが編集部の計算です。
控除率は、1回ごとの勝ち負けを表す数字ではありません。賭けた額の合計が大きくなれば控除される額の見込みも同じ割合で大きくなるため、私たちは、長く続けたときに手元から離れていくお金の割合を示す数字として控除率を読むことをおすすめしています。
入場制限、投票の停止、購入額の上限
2019年の基本計画によれば、JRAが本人の申告による入場制限を始めたのは2017年7月、電話・インターネット投票の利用停止は同じ年の10月でした。家族の申告による利用停止は2017年12月、家族の申告による入場制限は2018年10月に始まっています。地方競馬では、本人の入場制限が2017年4月、本人のネット投票の停止が同じ年の10月に始まり、家族の申告も2018年4月(ネット)と11月(入場)から受け付けられるようになりました。
本人による入場制限は、競馬場かウインズの案内所に本人が出向いて申し込みます。家族が申請する場合は手続が違います。申請できるのは同居している6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族で、診断書か経済的な被害を示す資料が必要とされ、手続はJRAのインフォメーションデスク(050-3536-0066)への電話から始まります。
この入場制限について、JRAは「有効期限は入場制限開始日の翌年末までとなります。」と案内しているため、制限がいつまで続くかは開始日によって変わります。電話・インターネット投票の利用停止は本人も家族もPATサービスセンター(050-3771-2000)に申し出る仕組みで、本人が申請した場合について、JRAは「利用停止後は、利用停止日の翌年末日までは解除申請できません。」としています。
このほかJRAは、「電話・インターネット投票、UMACA投票」について、購入できる額に上限を設ける仕組みも用意しています。地方競馬の場合は、入場制限は競馬場ごとに、インターネット投票の停止は利用している投票サービスごとに申し出る仕組みのため、問い合わせ先として地方競馬全国協会の電話番号(03-3583-6858)が示されています。
私たちが確認した政府の資料によれば、2026年3月31日までに行われた「入場制限」と「利用停止」の累計は、本人と家族の申請を合わせて中央競馬で7,196件(うち家族の申請210件)、地方競馬で2,125件(同33件)で、ほかの競技も含めた数字と相談先の一覧は利用を止める仕組みのページにまとめています。
払戻金と税金
競馬の払戻金は、宝くじやスポーツくじのように非課税とはされておらず、国税庁は「競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除きます。)」を一時所得の例に挙げています。一時所得の計算の仕方や、確定申告が必要になる場合については、ギャンブルの払戻金と税金のページで編集部が条文とともに説明しています。
よくある質問
地方競馬の払戻率はJRAと同じですか。
法律が定める下限(売得金の70%)は同じですが、各地の主催者が実際に使っている率は、私たちが一次資料で確かめられていません。中央競馬の率は、JRAが賭式ごとに公表しています。
19歳の人が、親に頼んで馬券を買ってもらうことはできますか。
できません。競馬法28条は20歳未満の者が勝馬投票券を「購入し、又は譲り受け」ることを禁じており、ほかの人が買った馬券を受け取ることも禁止の対象です。
家族の申請で、競馬場への入場を止めることはできますか。
JRAでは、同居する6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族が入場制限を申請でき、診断書か経済的な被害を示す資料が必要です。手続はインフォメーションデスク(050-3536-0066)への電話から始まります。
競馬で当たったお金に税金はかかりますか。
払戻金は一時所得として課税の対象となる場合があり、宝くじのような非課税の扱いはありません。くわしくはギャンブルの払戻金と税金をご覧ください。
出典と参考資料
- 競馬法、e-Gov法令検索
- 日本中央競馬会法、e-Gov法令検索
- 勝馬投票法ごとの払戻率について、日本中央競馬会
- 競馬法第8条第1項の率についてのお知らせ、日本中央競馬会、2014年3月3日
- ギャンブル等依存症対策の取組(入場制限・利用停止など)、日本中央競馬会
- インターネット投票とアクセス制限の案内、地方競馬全国協会
- ギャンブル等依存症対策推進基本計画(2019年4月19日閣議決定)、内閣官房
- 令和7年度までの進捗状況について(概要)、内閣官房、2026年7月
- タックスアンサー No.1490 一時所得、国税庁