お金をめぐる詐欺:SNSの儲け話、口座の売買、送金バイト、返金の約束
オンラインカジノをめぐるお金の詐欺では、カジノは舞台にすぎず、売られているのは参加の権利や「副業」、銀行の口座、返金の約束であり、どの話も、お金がどこからどこへ動くのかをたどれば正体が見えてきます。
このページの要点
- 国民生活センターが紹介する事例には、SNSで知り合った人の紹介で海外のオンラインカジノを広める契約をし、説明会に行ったものがあります
- 2026年7月10日から、口座や通帳、カード、振込みに必要な情報の売買などを罰する規定は犯罪収益移転防止法26条に移り、刑は3年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科あり)になりました
- 報酬と引き換えに、自分名義の口座に振り込まれたお金を別の口座へ移す「送金バイト」は、同法32条で頼んだ側も移した側も罰せられます
- 消費者庁は、見知らぬ業者が被害回復のためと言ってお金を求める話に二次被害のおそれがあると注意しています
SNSで始まる「副業」と「オーナー会員」
国民生活センターによると、オンラインカジノの相談には、カジノを広めるアフィリエイトの契約をやめたいという相談や、カジノを使った儲け話の相談が含まれています(2026年7月31日に更新された同センターのページ)。事例の中には、「SNSで知り合った人に紹介されて海外のオンラインカジノゲームを広める契約をして説明会に行った。」という相談もあります。
2020年3月には東京都消費生活総合センターが、SNSで「オンラインカジノのオーナー会員」になるよう誘われ、「カジノ法に基づいてやっているから安全だ」と言われて入会金の20数万円をキャッシングで払ったのに、解約を断られたという相談を紹介しました。いわゆる「カジノ法」はオンラインカジノを合法化したものではない、というのが同センターの注意です。
福岡県は2021年12月の資料(第51号)で、加入した人が次の人を誘う形のオンラインカジノのアフィリエイトに「みんな消費者金融からお金を借りて契約している」と誘われ、70万円の費用を求められたという例を紹介しています。広島県も2025年7月に、出会いを目的とするサイトで知り合った相手に勧められ、借金もして40万円を払った例を取り上げました。
これらの話で最初に動くのは、参加する側のお金です。入会金や契約金は一度も賭けないうちに勧誘した側へ渡るので、持ちかけた側の利益は参加者の賭けより先に確定するという点で、利害はもっとも強く対立します。そのうえ警察庁は、海外の運営者とアフィリエイト契約を結んで動画配信サイトなどで利用を勧めていた者を常習賭博幇助罪で検挙した例を挙げており、広める側に回れば、お金を失う危険に刑事責任の危険が重なると私たちは考えています。
「闇バイト」と口座の売り買い
警察庁は「高額」「即日即金」「ホワイト案件」などの言葉で楽に高収入が得られると強調する求人に注意するように呼びかけ、警視庁も、申し込みの際に匿名性の高いアプリのインストールを求められる場合は闇バイトの可能性があるとしています(警視庁「#BAN 闇バイト」、2026年3月27日更新)。
同じ警察庁のページは、口座の売買が犯罪であると明記し、相談を受けた本人と家族を確実に保護するとしています。私たちが確認した資料は、オンラインカジノの賭け金の受け皿になった口座がどう集められたかまでは書いていませんが、他人名義の口座がそう使われていたこと自体は、後で見る検挙の例から確かめられます。
2026年7月から重くなった罰則
| 行為 | 条文 | 刑 |
|---|---|---|
| 他人になりすまして自分で使う、または第三者に使わせる目的で、通帳、引出用のカード、引出しや振込みに必要な情報などを譲り受ける(有償で正当な理由なく受け取る場合を含む) | 26条1項 | 3年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科あり) |
| その目的を知りながら譲り渡す・提供する(有償で正当な理由なく渡す場合を含む) | 26条2項 | 1項と同じ |
| これらを業として行う | 26条3項 | 5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(併科あり) |
| 勧誘や広告などで人を誘う | 26条4項 | 1項と同じ |
| 報酬を約束して、名義人に口座を使わせたまま振り込まれたお金を別の口座へ移させる、またはそれに応じて移す(いわゆる送金バイト) | 32条 | 2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり。業として行えば3年以下・500万円以下) |
私たちが条文を確かめたところ、口座の売買などを罰する規定は、2026年6月10日に公布された改正法(令和8年法律第34号)の罰則部分が同年7月10日に施行されたことで、犯罪収益移転防止法の28条から26条に移りました。刑も1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金から、「三年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金」に重くなり、以前と同じく両方を科すこともできます(26条1項・2項)。古い記事が28条と1年以下の刑を挙げているのは7月9日までの規定を説明したためで、今の28条は資金移動業者のカードや情報を対象に、同じ刑を定めています。
新しい32条が対象にするのは、いわゆる「送金バイト」です。警察庁の概要(改正法の参考資料)によれば、32条は「有償で、他人に対し、同人名義の口座を使用させたまま、当該口座に振り込まれた財産を別口座に移転するよう」求める行為と、それに応じて移した行為の両方を罰し、刑は2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(業として行えば3年以下または500万円以下)。口座そのものを渡していなくても、報酬と引き換えに、自分の名義で受け取ったお金を頼まれたとおり移すだけで処罰の対象になりうるので、口座を貸していないから大丈夫だという考えは通用しません。
口座はどこで使われるのか
大阪府警は2025年2月、オンラインカジノの賭け金を「被疑者らが管理する他人名義の預金口座に」入金させていた決済代行業者2人を、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)の疑いで逮捕しました(警察庁、2026年4月の資料による)。国家公安委員会の犯罪収益移転危険度調査書(2025年11月)も、第三者が支配する法人名義の口座が、特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺、オンラインカジノの運営などで得た犯罪収益を隠したり移したりするのに使われた事例があると書いています。
警察庁の資料は、架空の法人やペーパーカンパニーの口座が使われ、入金や出金の口座が次々に変えられているという実態を挙げて、「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の関与も窺われる」としています。売った口座がこの流れのどこに組み込まれるかを渡した側は知りようがなく、私たちが一度だけ、少額だけという誘いにも応じないようすすめるのは、そのためです。
返金、被害回復、「投資」をうたう話
すでにお金を失った人に近づく話もあります。消費者庁は投資のトラブルにあった人に向けて、「返金を受けるには、別の投資商品を購入する必要がある」「返金手続を代行する」といった持ちかけを挙げ、見知らぬ業者などが被害回復のためと言ってお金を求めたり、新たな投資を勧めたりする場合には、二次被害のおそれがあると注意しています。
金融庁も2026年9月、行政処分などに便乗して、解約や返金の交渉を代行する条件としてお金を請求するというケースがあると注意しました(不動産特定共同事業についての注意喚起)。国民生活センターは同じ月に「投資資金の振込先に個人名義の口座を指定された場合、それは詐欺です。」と呼びかけています。これらは投資のトラブル全般への注意で、オンラインカジノの損失の返金に絞った公的な注意喚起は私たちが調べた範囲では見つかりませんでしたが、先にお金を求めるという形は同じです。
オンラインカジノの場合は法律の事情も加わり、賭博で生じた債権は無効とされ、賭けたお金も返還を求めにくいため(民法90条・708条)、損失を取り戻せると言って先に費用を求める業者は、法律の上でほとんど実現しない約束を売っていることになります(くわしくは出金できないサイト)。カジノへの「投資」として公的な資料に記録されているのは、私たちが確認した範囲では、先に見た「オーナー会員」やアフィリエイトの形だけです。
決済代行と暗号資産
「決済代行」という言葉は正規の業種のように聞こえますが、国家公安委員会の調査書(2025年11月)は、決済代行業や収納代行業と呼ばれる事業形態について、統一的な定義も法令上の登録・認可制度も、その時点では存在しないと書いています。
警察庁は、収納代行を請け負ったように装って、自分が管理する銀行口座にカジノサイトへの賭け金を入金させた者を組織犯罪処罰法違反で検挙した例を挙げています。編集部が確かめた警察庁の統計でも、検挙された「運営等」という区分には「決済代行業者やアフィリエイターなどの運営に関与する者」を含むと注記されています(2025年は8事件・25人)。
暗号資産を使えば安全だという考えも、当てにはなりません。警察庁の報告によれば、暗号資産による決済にかかわる事件で2024年11月26日までに24の都府県警察が57人を賭博罪で検挙しています。金融庁と警察庁も2025年5月、日本資金決済業協会や日本暗号資産等取引業協会などに、オンラインカジノに関連する取引だと把握した場合には止めるように要請しました。
お金の通り道をたどる
どの話を見分けるときも、私たちは、お金がどこからどこへ動くのかを最後までたどることをすすめます。自分の口座から入会金や手数料が先に出ていく、振込先に個人名義の口座を指定される、自分の口座が他人のお金の通り道にされる、暗号資産を指定された送り先へ送るよう求められるという四つのうち、どれか一つにでもあてはまるなら、そこで立ち止まるべきだと考えます。
相談先(2026年10月15日に確認)
- 投資や返金をうたう話は、金融庁の詐欺的な投資に関する相談ダイヤル 0570-050588(平日10時〜17時)
- 契約や支払いのトラブルは、消費者ホットライン 188(最寄りの消費生活センターにつながります)
- 闇バイトや口座の売買に巻き込まれたときは、警察相談専用電話 #9110。緊急のときは110番
- 闇バイトの募集や口座売買の書き込みは、インターネット・ホットラインセンターに匿名で通報できます(相談機関ではありません)
よくある質問
SNSでオンラインカジノを広める仕事に誘われたら、どうすればよいですか。
入会金や契約金を先に求める話には応じないでください。国民生活センターには同じ形の相談が寄せられており、運営者と契約して利用を勧めた人が常習賭博幇助罪で検挙された例もあります。
口座を貸すだけなら罪になりませんか。
2026年7月10日からは、相手が他人になりすまして使うつもりだと知りながら、または報酬を受けて正当な理由なく、通帳やカード、振込みに必要な情報などを渡すと、犯罪収益移転防止法26条により3年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科あり)の対象になります。
自分の口座に振り込まれたお金を別の口座へ移すだけのアルバイトは大丈夫ですか。
報酬と引き換えに、正当な理由なく、自分名義の口座に振り込まれたお金を別の口座へ移す行為は、2026年7月10日から同法32条で罰せられ、頼んだ側も移した側も2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象です。
損失を取り戻せるという業者から連絡がありました。
消費者庁は、見知らぬ業者が被害回復のためと言ってお金を求める話を二次被害のおそれがあるものとして注意しています。先に払わず、消費者ホットライン188や金融庁の相談ダイヤルに相談してください。
出典と参考資料
- オンラインカジノ(各種相談の件数や傾向)、国民生活センター、2026年7月31日更新
- オンラインカジノで儲かるという話に注意!、東京都消費生活総合センター、2020年3月2日
- いわゆる「闇バイト」の危険性について、警察庁
- 犯罪による収益の移転防止に関する法律(第26条、第28条、第32条)、e-Gov法令検索
- 犯罪収益移転防止法の改正(令和8年法律第34号)の概要、警察庁
- 犯罪収益移転危険度調査書、国家公安委員会、2025年11月
- オンラインカジノを利用した賭博は犯罪です!、警察庁
- 投資系トラブルの二次被害にご注意ください、消費者庁
- SNSで著名人が勧める“もうかる方法” それって本当!?金融商品・サービスのトラブルにご注意!、国民生活センター、2026年9月1日