ぱちんこと「三店方式」:風営法の規制と政府の説明
ぱちんこは、競馬や宝くじのように特別な法律が開催や発売を認めた賭けとは違い、風営法が「風俗営業」の一つとして規制する遊技であるため、このページでは規制の中身と、賞品をめぐる「三店方式」について政府が示してきた説明を、当サイトの判断を加えずに紹介します。
このページの要点
- 風営法はぱちんこ屋を「風俗営業」の一つと定め、営業者が18歳未満の者を客として営業所に立ち入らせることを禁じています
- 営業者は、現金や有価証券を賞品にすることも、客に提供した賞品を買い取ることも、風営法23条1項で禁じられています
- 料金の上限は玉1個4円、メダル1枚20円で、賞品1つの価格は9,600円が上限です(いずれも消費税等を除く)
- 「三店方式」は法令の用語ではなく、政府は2014年の答弁書でその意味が「必ずしも明らかでない」と述べています
- 自己申告・家族申告プログラムは、2024年11月末の時点で6,130店舗が導入し、導入率は92.2%です
ぱちんこ屋は風営法の「風俗営業」
風営法(昭和23年法律第122号)は2条1項4号で、「まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」を風俗営業の一つに数えるという形で、ぱちんこ屋を規制の対象にしています。ぱちんこを遊技と呼ぶのは条文の言葉に合わせたもので、2025年の基本計画でも、ぱちんこの対策は警察庁の担当として、公営競技とは別の章に置かれています。
22条1項5号が営業者に「十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること」を禁じているため、年齢の線は公営競技の20歳より低い18歳です。ギャンブル等依存症対策基本法(平成30年法律第74号)も、2条でぱちんこ屋に係る遊技を公営競技と並べてギャンブル等に含めているので、ぱちんこは依存症対策の対象になっています。
営業者に禁じられている四つのこと
一 現金又は有価証券を賞品として提供すること。
二 客に提供した賞品を買い取ること。
三 遊技の用に供する玉、メダルその他これらに類する物…を客に営業所外に持ち出させること。
四 遊技球等を客のために保管したことを表示する書面を客に発行すること。
出典:e-Gov法令検索
23条1項が営業者に禁じているのは、現金や有価証券を賞品にすること(1号)、客に提供した賞品を買い取ること(2号)、玉やメダルを営業所の外に持ち出させること(3号)、玉を預かったことを示す書面を客に渡すこと(4号)という四つの行為です。1号と2号があるため、私たちが条文を読む限り、店が現金を賞品として渡すことも、店が自分で賞品を買い戻すことも認められていません。遊技の結果として客が店から受け取れるのは、賞品だけです。
料金と賞品の上限
上限は風営法19条を受けて施行規則36条が定めており、料金は玉を使う場合が1個4円、メダルを使う場合が1枚20円に、それぞれ消費税等を加えた額までです。賞品は「遊技球等の数量に対応する金額と等価の物品」でなければならず、1つの賞品の価格も、9,600円に消費税等の額を加えた金額を超えてはならないとされています。仮に1個4円の料金で遊んだとすると、9,600円の賞品は2,400個分の玉にあたるため、一つの賞品に替えられる玉は最大で2,400個、というのが編集部の計算です。
「三店方式」について政府が述べてきたこと
客が受け取った賞品の売却をめぐって「三店方式」という言葉が使われることがありますが、これは法令の用語ではなく、政府は2014年11月4日の答弁書(内閣参質187第45号)で、その「意味するところが必ずしも明らかでない」と述べています。そのうえで答弁書は、営業者が現金や有価証券を賞品として提供したり、客に提供した賞品を買い取ったりした場合には、23条1項1号又は2号の違反となるほか、「賭博罪等が成立する場合もあり得る」としています。
2016年11月18日の答弁書(内閣衆質192第123号)では、政府は、客が賞品の提供を受けた後に「ぱちんこ屋の営業者以外の第三者に当該賞品を売却することもあると承知している」という認識を示しました。同じ答弁書は、規制の範囲内で行われる営業であれば、刑法185条に規定する罪に「該当しないと考えている」と答えています。
2017年2月22日の衆議院予算委員会(第一分科会)では、松本純国家公安委員会委員長が、営業者以外の第三者が賞品を買い取ることは「直ちに風営適正化法違反または賭博罪に当たる行為となるものではない」と述べました。ただし同じ答弁の中で、「営業者と実質的に同一であると認められる者が賞品を買い取る場合については、風営適正化法違反となるほか、賭博罪に当たることもある」とも述べています。
2018年7月5日の参議院内閣委員会では、山下史雄警察庁生活安全局長が「パチンコ店の営業者以外の第三者が賞品を買い取ることにつきましては、直ちに風営適正化法違反となるものではないというふうに認識をしております。」と答弁しました。
私たちは、店の仕組みが適法かどうかを判断する立場にありません。当サイトが政府の説明を日付と文書の番号とともに並べたのは、第三者による買取りがそれだけで違反となるものではないという答弁が、営業者と「実質的に同一」と認められる場合についての留保とあわせて示されてきたことを、正確に伝えるためです。
2018年の出玉規制
出玉の規制を強めた改正は平成29年国家公安委員会規則第9号という規則で、2017年9月4日に公布され、2018年2月1日に施行されました。私たちが確認した2019年の基本計画によれば、この改正で、平均的な遊技時間とされる4時間を単位にして1.5倍という線を引く基準が新しく設けられ、1時間と10時間の基準も改正前のおよそ3分の2の水準に改められました。
四時間にわたり遊技球を連続して発射させた場合において獲得することができる遊技球の数が発射させた遊技球の数の一・五倍を超えることがあるか、又はその五分の二を下回ることがある性能を有する遊技機であること。
出典:e-Gov法令検索
大当たりの出玉についても、基本計画は「上限を2,400個から1,500個へと引き下げた」としており、回胴式のパチスロでは480枚から300枚になりました。2025年の基本計画には、2022年(令和4年)春までに全ての遊技機が、射幸性が抑制された新基準に適合するものに入れ替えられたという記述があります。
自己申告・家族申告プログラム
ぱちんこ店の利用を本人や家族の申し出で制限するものとして、パチンコ・パチスロ産業21世紀会のサイトで案内されている「自己申告・家族申告プログラム」という仕組みがあり、参加する店は業界団体を通じて登録しています。本人は、1日の上限金額、1か月の来店の上限回数、1日の上限時間、そして入店制限の四つを決めることができ、上限を超えた場合には店から知らせがあり、入店制限をした人が店に入ったときには、従業員が「退店を促す声かけをします」とされています。
家族が申告できるのは「配偶者、2親等以内の親族(成年者に限る)」ですが、家族による申告は入店制限だけが対象で、本人が同意している場合は本人のプログラム申込同意書が、同意がない場合には制限が必要であることを客観的に示す書類が求められます。家族の相談先は、編集部が家族の相談にまとめています。
このプログラムは、2019年の基本計画によれば2015年(平成27年)10月に始まり、2017年(平成29年)12月に時間と回数の上限、入店制限、本人の同意がある家族申告へと広がりました。2025年の基本計画によると、2024年(令和6年)11月末の時点で6,130店舗が導入しており、導入率は92.2%で、令和6年度からは同じ系列の店すべてに一度の申込みで申告できるようになっています。
よくある質問
ぱちんこ店で現金を賞品として受け取ることはできますか。
風営法23条1項は、営業者が現金や有価証券を賞品として提供することを禁じています。賞品は、玉やメダルの数に対応する金額と等価の物品でなければなりません。
政府は「三店方式」を合法だと認めているのですか。
政府は2014年の答弁書で「三店方式」の意味が必ずしも明らかでないとし、2016年の答弁書では、規制の範囲内で行われる営業は刑法185条の罪に該当しないと考えていると答えています。一方で、賞品を買い取る者が営業者と実質的に同一と認められる場合には、違反や賭博罪となることがあるとも述べています。
何歳からぱちんこ店に入れますか。
風営法22条1項5号は、営業者が18歳未満の者を客として営業所に立ち入らせることを禁じています。
家族のぱちんこを止めるために、家族ができることはありますか。
自己申告・家族申告プログラムでは、配偶者と2親等以内の成年の親族が入店制限を申告できます。本人の同意がない場合は、必要性を客観的に示す書類が求められます。相談先は家族の相談にまとめています。
出典と参考資料
- 風営法(第2条、第19条、第22条、第23条)、e-Gov法令検索
- 風営法施行規則(第8条、第36条)、e-Gov法令検索
- 参議院議員の質問に対する答弁書(内閣参質187第45号)、参議院、2014年11月4日
- 衆議院議員の質問に対する答弁書(内閣衆質192第123号)、衆議院、2016年11月18日
- 第193回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 会議録、国会会議録検索システム、2017年2月22日
- 第196回国会 参議院 内閣委員会 会議録、国会会議録検索システム、2018年7月5日
- ギャンブル等依存症対策推進基本計画(2019年4月19日閣議決定)、内閣官房
- ギャンブル等依存症対策推進基本計画(2025年3月21日閣議決定)、内閣官房
- 自己申告・家族申告プログラム、パチンコ・パチスロ産業21世紀会