大阪IR(夢洲)の計画と現状
大阪府が国に申請した夢洲のIRは、2023年4月に全国で初めて認定を受けた計画で、2026年10月の時点でもただ一つの認定計画という位置づけのまま、2025年4月から建設工事が続いています。開業は「2030年秋頃」とされていますが、計画自体が遅れる可能性に触れているため、このページでは日付や数字を、確定した予定ではなく計画上の見込みとして紹介します。
このページの要点
- IRを建設し運営する事業者はMGM大阪株式会社で、2025年5月1日に大阪IR株式会社から社名を変更しました
- 出資の比率は合同会社日本MGMリゾーツとオリックスがそれぞれ約44%、少数株主22社が合わせて約13%です
- 初期投資は約1兆5,130億円(税抜き)で、当初の約1兆800億円から約4割増えています
- 建設工事は2025年4月24日に始まり、開業は2030年秋頃の予定ですが、1〜2年程度遅れる可能性があるとされています
- 来場者や売上の数字は計画上の見込みで、国は見込みの前提を精緻にするよう求めています
事業者と出資の構成
IRを建設し運営する事業者は、2021年12月23日に設立されたMGM大阪株式会社で、会社の概要によれば資本金は1,201億6,250万円です。大阪府の資料には「令和7年5月1日付けで『大阪IR株式会社』は『MGM大阪株式会社』に社名変更」と記されているので、それより前の記事や資料に出てくる大阪IR株式会社は、同じ会社の以前の名前ということになります。
出資の比率は、合同会社日本MGMリゾーツとオリックスがそれぞれ約44%、関西の企業を中心とする少数株主22社が合わせて約13%です(いずれも概数のため、足すと100%を少し超えます)。国の審査委員会は(計画の変更についての意見で)、大きな二つの株主の比率が、認定のときに示された「各40%」を下回っていないことを確かめています。
計画地は大阪市此花区夢洲中1丁目にある約49.2万㎡の土地で、計画によれば事業の期間は35年とされ、さらに30年延長できるという定めもありますが、2025年4月13日から10月13日までは同じ夢洲で万博が開かれていたため、後で触れるように、IRの工事の日程にもその影響が及んでいます。
投資額と資金の内訳
初期投資の総額は約1兆5,130億円(税抜き)で、そのうち出資が約9,830億円、金融機関からの借入れが約5,300億円という内訳です。この額は計画の変更を経て増えてきており、当初の約1兆800億円が、2023年9月の変更で約1兆2,700億円に、2025年9月の変更で現在の約1兆5,130億円になったという経緯があります。
編集部の計算では、当初からの増加は約4,330億円で、率にすると約4割にあたるため、計画の数字を引用する場合は、どの時点の計画かを確かめる必要があります。出資の払い込みについては、観光庁の評価によれば、2026年3月31日の時点で大きな二つの株主が「累計約1,842億円」を払い込んでいます。
工事の経過と開業の予定
私たちが確認した大阪府の資料によれば、実施協定は2023年9月28日に結ばれ、協定にもとづく解除権は2024年9月6日に消滅しました。事業者は2025年4月24日に「本日、IR事業用地内において、建設工事に着手しました」と発表しており、観光庁の評価も2025年4月の着工を記しており、事業者によれば工事は2030年夏ごろまで続く予定です。
開業の時期について、2026年7月31日付の計画の概要は「2030年秋頃」としながら、開業が1〜2年程度後ろ倒しとなる可能性があるとも書いているため、仮に2年遅れた場合、開業は2032年秋頃になります。開業の日付は、まだ確定していないということです。
2023年の変更より前の目標は「2029年秋~冬頃」でしたが、国の審査委員会は、開業を早められない理由の一つとして「万博との工事輻輳」、つまり同じ夢洲で万博の工事と重なることを挙げていました。観光庁が2026年10月9日に公表した評価(令和7年度の評価)によれば、事業者は詳細設計を終えて建設工事に入り、株主の出資や液状化対策の工事も進んでおり、国は認定の要件を引き続き満たしていると判断しています。
認定後の計画の変更は、私たちが確認した範囲では、国の認定を改めて受ける変更認定(IR整備法11条1項)ではなく、すべて「軽微な変更の届出」(同条2項)として出されています。その届出の日付は、2023年9月8日、2024年4月19日、2025年5月9日、2025年9月12日、2026年7月31日の5回です。
工事の進み具合を示す割合や正確な開業日、カジノのテーブルやスロットの台数については、業界の報道などで数字が出回っていますが、私たちが確認した公的な資料には示されていません。カジノを営むためにはカジノ管理委員会の免許(IR整備法39条)が必要ですが、私たちが調べた委員会の公表資料の中に、この事業者への免許についての発表は見あたりませんでした。
計画が示す見込みの数字
計画の概要によれば、開業後の来場者は「約2,000万人/年」(日本から約1,400万人、海外から約600万人)で、3年目の売上は約5,200億円、そのうちカジノが約4,200億円、カジノ以外の部門が約1,000億円と見込まれています。編集部の計算では、売上の見込みのおよそ8割をカジノが占めることになるため、IRと呼ばれてはいても、収入の面ではカジノが中心の計画だということがわかります。
| 項目 | 計画上の数字 |
|---|---|
| 初期投資 | 約1兆5,130億円(税抜き) |
| 来場者 | 約2,000万人/年 |
| 3年目の売上 | 約5,200億円(うちカジノ約4,200億円) |
| カジノへの入場(3年目) | 約1,610万回/年 |
| 施設全体の床面積 | 約78万㎡ |
| 客室 | 約2,500室 |
| 国際会議場 | 6,000人以上 |
| 展示場 | 2万㎡ |
| 劇場 | 約3,500席 |
| 府と市の収入 | 約1,060億円/年(納付金約740億円、入場料約320億円) |
いずれも計画上の見込みです。施設全体の床面積は約78万㎡で、仮にこの面積にそのまま3%の上限をあてはめると約2.3万㎡になりますが、カジノの面積の数え方は規則で定められており(現金を扱う窓口や通路、トイレ、相談室などは数えません)、この数字は目安にとどまります。
大阪府と大阪市の収入としては、納付金と入場料で「約1,060億円/年(納付金:約740億円/年、入場料:約320億円/年)」が見込まれ、府と市で半分ずつ分けることになっています。観光庁はこうした見込みの前提を「精緻化」するように求めているため、私たちも、これらの数字は確定した予測ではなく、計画が掲げる見込みとして読むべきだと考えています。
依存症対策として計画されていること
国は大阪の計画を認定する際に7つの条件を付けており、その6番目は「日本人の依存防止対策を始めとして実効性を持って取り組むこと」という条件で、「ギャンブル等依存が疑われる者」の割合を調べることと、対策を定期的に検証することが求められています。
計画には、「(仮称)大阪依存症センター」の設置や、依存症の治療と支援のためのプログラムOATIS(Osaka Addiction Treatment Inclusive Support)、IRの収入から年間約14億円を依存症対策に充てることが盛り込まれています。事業者の側も、24時間365日の相談、賭け金と時間の上限、生体認証などを使った入場の確認を予定しています。
大阪府では、2026年3月の「第3期大阪府ギャンブル等依存症対策計画」(2026〜2028年度)も進められています。入場料や回数の制限など、カジノに入る側に法律が課すルールはカジノの入場規制に、ギャンブルの問題で困ったときの相談先は相談窓口と支援にまとめています。
よくある質問
大阪IRはいつ開業しますか。
計画では2030年秋頃とされていますが、計画の概要は、開業が1〜2年程度後ろ倒しになる可能性にも触れています。私たちが確認した公的な資料に、正確な開業日は示されていません。
大阪IR株式会社とMGM大阪株式会社は別の会社ですか。
同じ会社です。2025年5月1日付けで、大阪IR株式会社からMGM大阪株式会社に社名が変わりました。
投資額はいくらですか。
初期投資は約1兆5,130億円(税抜き)で、出資が約9,830億円、借入れが約5,300億円です。当初の計画の約1兆800億円から増えています。
大阪IRのカジノは、もう営業していますか。
していません。IRは2025年4月に着工した建設中の施設で、2026年10月の時点で、日本国内に営業している合法なカジノはありません。
出典と参考資料
- 区域整備計画と変更の届出のページ、大阪府IR推進局
- 区域整備計画の概要、大阪府、2026年7月31日
- 区域整備計画の新旧対照(2023年9月)、大阪府
- 区域整備計画の新旧対照(2025年9月)、大阪府
- 基本協定・実施協定、大阪府IR推進局
- 大阪府の区域整備計画の認定(発表)、観光庁、2023年4月14日
- 大阪の認定区域整備計画についての令和7年度の評価、観光庁、2026年10月9日
- 計画の変更についての審査委員会の意見、観光庁
- 会社概要、MGM大阪株式会社